2015年9月20日~23日:飯豊連峰(飯豊山荘から周遊)


飯豊連峰はあまり相性の良い山ではなかった。 2010年 、同じダイグラ尾根を(今回と同じコース予定で)登ったが雨と雷鳴の中、登山道をズタズタにしていた中途半端な雪渓に行く手を阻まれ、 完全に打ちのめされた。結局、その時は大日岳・杁差岳には寄らず、意気消沈して梶川尾根から下山した。 昨年の同じ時期、大石ダムに下る予定で弥平四郎集落から切合小屋まで行った。しかし、台風一過の晴れのはずが初期予報より影響が長くなり先を断念、引き返した。

今回は3度目の正直、シルバーウィーク、飯豊はやっとその素晴らしい世界を見せてくれた!

ダイグラ(大嵓)尾根
ダイグラ尾根は飯豊本山に最短で直登できるルート(点線)ですが、他に類を見ない厳しいルートです。 登山口にある飯豊山荘の標高は406mで飯豊本山は2105m(因みに大日杉登山口は600m、川入は480m、弥平四郎は680m)。 飯豊山荘から飯豊本山までの単純標高差は1700m。登り始めから休場ノ峰(1320m)まで手足をフルに使って一気に 約800m登ります。その後、千本峰と呼ばれる通り、緩むことのないアップダウンが宝珠山の先まで続きます。それから御前坂と呼ばれる大斜面を飯豊本山山頂まで一気に登り詰めます(累積標高差は想像できません)。キツイ登りか下りで平坦なところは殆どありません。 ロープや梯子の類は一切無し。狭い道幅で草木を掴んで進むトラバース斜面等、ずっと緊張状態を強いられます。 私的な感想として、残雪期(8月以前?)や下りに使用することは危険であると思います。長坂清水は位置的に微妙で有用ではないし、その他に水場はありません。コース中に小屋は無く、ビバークできる場所も殆どありません。南アルプスの黒戸尾根等より遥かに厳しいことは断言できます。

9/20(日):飯豊山荘→ダイグラ尾根→飯豊本山→尾西小屋(幕営)

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2015/09/19 15:47:02

9/19(土)は移動日。圏央道→関越道→北陸道→日本海東北道と順調に進み荒川胎内インターで高速を出る。 後は113号線から飯豊山荘まで(トンネルを出て直ぐ左折して113号を離れる場所が若干難しい)… 車を無料駐車場に停めたら、早速天狗平ロッジにテントを張る。 時折シトシト降る雨の中、他にも数組が幕営。明日は曇りから晴れ、以後は晴天予報にロッジの方は満室のようだ。飯豊山荘(ドコモ通話可)でお風呂に入った後 テントの中でチビチビやりながらいつの間にか就寝。

2015/09/20 6:11:11

9/20(日)朝、まだ暗いうちから歩き出し、登山届を出してから温身平を経てこの吊り橋を渡ればダイグラ尾根の始まり。 最初は超急登(下りなら、既に足がガクガクになった最終段階で止めの急下降)。

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2015/09/20 11:14:10

「ええっ!」というような岩場や、こんな感じの足場の悪い道(左は絶壁)がずっと続きます。

2015/09/20 12:04:14

とにかく登って降りて登って降りて…

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2015/09/20 14:14:29

飯豊本山山頂
吊り橋から山頂までは8時間弱。 雪渓はないがとにかく慎重に登った。ダイグラ尾根にしては珍しく、何人もの人と抜いたり抜かれたり…山頂でしばらく情報交換してから記念写真。

2015/09/20 15:04:02

登ってしまえば、たおやかで優しい雰囲気の東北の山。尾西小屋を目指します。左は飯豊本山。

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2015/09/20 15:20:04

草原の一軒家のような尾西小屋。

2015/09/20 17:03:24

小屋から少し離れた絶好の場所を発見して幕営。小屋から本山方向の斜面に冷たくおいしい水が湧いているので約8Lを汲む。後は水割り等をチビリながら景色を眺める。幕営中も続々とテント泊や小屋泊まりの人が到着。小屋に入りきれない人が出てきたので、小屋の壁からブルーシートを垂らして、その隙間で野宿するという事態に…

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2015/09/20 17:11:42

雲をまとった北俣岳、その右は烏帽子岳
明日は大日岳をピストンしてから、烏帽子岳・北俣岳、その先の地神山等を越えて頼母木小屋まで。

2015/09/20 18:10:45

日本海に沈む太陽
角田山や佐渡島が見えた(らしい…)。

9/21(月):大日岳(ピストン)→北俣岳…→頼母木小屋(幕営)

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2015/09/21 5:31:23

朝日を受ける大日岳(飯豊連峰最高峰、2,128m)
テントとシュラフ等はそのまま、水と行動食くらいをザックに詰めて出発。

2015/09/21 5:47:59

大日岳の反対側から登る朝日
右に雲海に浮かぶ会津磐梯山。

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2015/09/21 6:12:20

大日岳山頂
朝日に照らされて素晴らしい景色が広がります。

2015/09/21 6:19:54

一通り展望を楽しんだら来た道を天場まで戻ります。

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2015/09/21 7:55:55

なかなか趣のある尾西小屋
テントを片付けたら、尾西小屋を後にして頼母木小屋を目指します。

2015/09/21 9:13:20

御手洗ノ池
昨日の激登りが嘘のようなたおやかで優しい稜線歩き…といっても、右の烏帽子岳を越すのは楽ではありません。 中央は梅花皮岳。その下、梅花皮岳と北俣岳の鞍部に梅花皮小屋があります。

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2015/09/21 12:10:53

期待していなかった紅葉が始まっていた。

2015/09/21 12:43:53

門内小屋
なんとなくアルペンチック…

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2015/09/21 14:02:43

紅葉が綺麗です。

2015/09/21 14:32:42

頼母木小屋
どちらを眺めても最高のロケーション! とはいえ、猫の額のような頂部、既にテント場はかなり混みあっているようです。

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2015/09/21 15:19:31

小屋とトイレの隙間に幕営
なかなか良い場所が無く、色々探していると平らで丁度良い場所が…結構快適でした。
こじんまりした頼母木小屋ですが抜群の展望、そして何より、小屋前の蛇口から水が24時間流れています。トイレ(自転車で攪拌)も清潔。飯豊では最高かも?

2015/09/21 17:58:17

また、日本海の方向に日が沈みます…

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2015/09/21 18:11:16

テントの人も小屋泊の人も皆外に出てこれから始まる一大ページェントに見入ります。

2015/09/21 18:12:31

刻々と変わる空の色…時刻、見る方向・角度によってまるでカットされた宝石のように変化します。

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2015/09/21 18:12:40

赤くなったり…

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青くなったり…

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2015/09/21 18:13:58

一際輝いたり…

2015/09/21 18:45:14

そして、夜の帳が下り始めると、代わって街の灯りが輝き始めます…

9/22(火):杁差岳(ピストン)→頼母木小屋(幕営)

杁差岳をピストンしてから直ぐに丸森尾根から下山するのも勿体ないので、頼母木小屋に連泊。
花の写真等を撮りながらゆっくりと…

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2015/09/22 6:48:09

マツムシソウ(松虫草、マツムシソウ科)
秋の代表的な花。マツムシ(スズムシ)が鳴くころに咲くことが名前の由来。

2015/09/22 6:51:00

ウメバチソウ(梅鉢草、ユキノシタ科)
花茎に花は1個、おまけに葉も1枚だけとは何とも珍しい…

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2015/09/22 6:51:27

イワインチン(岩茵蔯、キク科)
日本固有種、黄色が鮮やか。

2015/09/22 6:51:42

ハクサンイチゲ(白山一花 or 白山一華、キンポウゲ科)
お馴染みの高山植物…イチゲは「一輪咲き」を意味するけど、大体沢山固まって咲いている。

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2015/09/22 7:27:29

ハクサンフウロ(白山風露、フウロソウ科)
ゲンノショウコの仲間。 日本固有種。風と露とは正に日本的で風流!

2015/09/22 8:09:13

杁差岳と杁差避難小屋
あの小屋も最高のロケーション! 右は水場に降りる道。

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2015/09/22 8:17:47

杁差岳山頂

2015/09/22 8:27:42

山頂反対方向、長者平へ… 草紅葉が素晴らしい!

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2015/09/22 8:30:49

長者平から見る杁差岳山頂

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前杁差岳、今度はあそこを越えて大石ダムまで歩いてみたい…

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2015/09/22 12:15:35

お昼前には頼母木小屋に戻る。そのまま丸森尾根から降りるのも可能だが、ここはじっくりもう一泊。 テントを一等地に移動して、 ビール(700ml缶は¥1000、350ml缶は¥700!)で乾杯。景色を見たり昼寝をしたり…

2015/09/22 18:05:24

また、夕焼ショーの始まり。決められたように皆外に出て見入ります。

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2015/09/22 18:20:06

昨日のような派手な演出は無し、静かに沈む太陽。これもまたよしです。雲海に浮かぶのは二王子岳。

9/23(水):頼母木小屋→丸森尾根より下山

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2015/09/23 5:12:21

頼母木山から振り返った頼母木小屋と町の灯り。
今日は下山して、また高速をひた走って帰宅です。 シルバーウィーク最終日でもあり、できれば混む前に距離を稼ぎたいということで暗いうちに出発。

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2015/09/23 5:51:02

地神山手前の分岐から丸森尾根を下ります。

2015/09/23 5:52:38

下が見えるけど、ここから梶川尾根同様、延々と下ります。

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2015/09/23 7:02:53

厳しい下りも、紅葉が綺麗なので心が休まります。梶川尾根は五郎清水、丸森尾根は夫婦清水と丁度中間点に水場があるのが良い感じです。 どちらも冷たくて非常においしい水ですが、この時は十分用意していたので飲むだけで汲まずに過ぎました。

2015/09/23 9:08:46

最後は岩々の急降下、天狗平ロッジのすぐ近くに降ります。前回の梶川尾根は蒸し暑さにヘトヘトになりましたが、 今回は涼しかったせいもあり結構余裕あり。そのせいもあり自分的には丸森尾根の方が若干歩きやすい気がします。

まとめ

すばらしい山旅でした。飯豊はどこから登っても一筋縄では行かないが、一旦登ってしまえば、東北特有のゆったりした山容と草花や紅葉、そして大概のところで おいしい水が得られます。できれば、川入や弥平四郎から登り、大石ダムに下る(または、その逆)のがベストですが、交通機関等の利用にかなり調査が必要です。 弥平四郎集落から登るなら野沢駅から「デマンドバス」を利用するのも一手。 日本百名山登山支援サイト 飯豊連峰等が参考になる。

特に、飯豊山荘(山形側)から登る(に下る)場合は 飯豊朝日連峰の登山者情報も事前に覗いておくことをお勧めします。 ダイグラ尾根は別格(一般ルートではない)、梶川尾根や丸森尾根も他ルートと比べるとかなり厳しいルートです。さらに石転び沢の登下行となれば、相当な熟達者の世界です。
登山後のお風呂は飯豊山荘で可(登山前日利用、洗い場が一つ)、我々は 道の駅関川(桂の関)の「ゆ~む」 を帰りに利用した。

食料

衣類

ザック重量

 約18Kg弱(初日、水を含む)